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2018年11月14日

信州の竹細工を受け継ぐための新しいスタイル 〜百瀬晃平さんインタビュー〜

伝統工芸の職人になる。そのためには、長年の修行期間が必要。
ものづくり1つで生計を立てるなど、
いくつもの壁があると感じる方も多いのではないでしょうか。
そんな中、伝統工芸の職人になるためにホテルで働きながら職人の元で修行をした若者がいます。

 

長野県松本市に住む百瀬晃平さん。
百瀬さんは長野県の伝統工芸品の須賀川竹細工の職人さんとして、
一人前になるために今も働きながら修行しています。
長野の伝統工芸を守りたいと強い想いを抱く若き職人にお話を伺ってきました。

 

 
 

何かを作ることが好きな少年時代

ーいつ頃から伝統工芸に興味を持たれていたのですか?

もともと何かを作ったりすることが好きでした。
本格的に興味を持ち始めたのは大学三年生くらいからで、民芸館に行ったり、本を読んだりしてました。

 

百瀬さんが作った竹籠

 

ーどうして竹細工職人になろうと思われたんですか?

実は最初から竹細工の職人になろうと思ってたわけじゃないんですよ。
最初は周りと同じように普通に就職活動をしてました。
だけどなかなか熱が入らなくて…。

親にも相談したりとかして、
いろいろな人と話をしているうちに職人になりたいって想いが強くなりました。
職人も地元長野の伝統工芸を守りたい・受け継ぎたいという想いがあって、
調べていく中で竹細工があって即決でしたね。
でも長野県に竹細工がなかったら、違うものだったからかもしれません。
地元長野に竹細工があったから竹細工をやろうと思ったんです。

 

 

 
 

ー竹細工のどんなところに魅力を感じてますか?

材料も作り方もシンプルだってところが魅力かもしれません。
例えば竹細工は竹だけで作れるし、材料の竹はすぐ成長して入手しやすい。
それに竹細工はもともと日常の生活の中で必要なもので、
日常使いできるものを作りたかった自分からしたらそこも魅力的でした。

 

作るときに使う道具。今は道具を作ることができる職人も減少している

 
 

職人になるための選択

ーホテルで働きながら職人の元で修行をされたということですが、どうしてそのような働き方をされたのでしょう。

正直言って竹細工だけでは食べていけないからです。
どんなに想いがあっても生活ができなければ、伝統を受け継ぐこともできないなと…。
働き先や修行先を見つけるために長野県庁のものづくり課のところに行って、
長野県中小企業団体中央会の方を紹介していただき、会社などを探しました。

最終的に自分が選んだ場所は山ノ内町という地域なんですけど、
最初は別の地域を考えていたんです。
そこで職人さんから弟子になってもらっても食べさせられないから、
働きながらなら教えてあげられると言われました。
そのようなことから働き口の多さをいうのを検討材料に入れて最終的に山ノ内町を選びました。

働き方ってことにフォーカスすると、
一般的な伝統工芸だと師匠の元でずっと修行するというイメージが強いと思うのですが、
竹細工はもともと農民が畑仕事ができないシーズンに竹細工を編んで生計を立てるという
兼業スタイルでやってきたものなので、働きながら修行するというスタイルは合ってると思ってます。

 
ー働かれていた時の勤務スケジュールやどれくらい先生の元に通われていたか、教えていただけますか?


ホテル椿野で約2年2ヶ月働きました。
スケジュールは、シフトによりますが、
起床5:45、6:30に出勤して、昼間に4時間休憩を挟んで、21:30頃に終わる感じが一般的でした。
自分は仕事の休みの日を利用して月に先生の元に2~3回通っていました。

 
ー今もホテルで働きながら修行されてるのですか?

今は、松本市内のセレクトショップで働いています。2〜3ヶ月に1回くらい先生のもとに通ってます。それ以外は自宅で竹を割ったり、編んだりと自主練してます。

家の近くには綺麗な水が流れる。よくここで竹を浸して柔らかくしている

 

 
 

作るものも働き方も時代に合った変化を

ー今の伝統工芸に変化は必要だと感じますか?

変化し続けないといけないと思います。
もちろん全部を変えなきゃいけないってことではないですが。
現代のニーズに合って必要とする人がいなければ残っていけないと思います。
作るものもそうですが、伝統工芸を学びたいという人を受け入れる側も
変わっていかなければいけないと思います。
今、いろんな働き方があるように修行のやり方もいろんなやり方があってもいいと思うんです。
これまで一般的とされたずっと一緒にいてやるスタイルももちろんですが、
自分みたいに働きながら空き時間にやったりとか、教室に通うとかいろんな形があれば、
職人になるってハードルが下がってくると思います。

 
ー伝統工芸の職人に興味を持っていたり、これからなりたいと思ってる方へ伝えたいことはありますか?

やりたいと思っている人はぜひチャレンジしてほしいと思う。
生業にできるものも中にはあるが、1本で生計立てるのが難しくても
片手間でもいいからやるとかいろんな方向を考えてほしいし、諦めてほしくないです。
実際に職人になる環境に身を置いた時にいろんなことが見えてくるんです。
竹細工で使う道具を作る職人さんも減少していて、近くで手に入らなくなっているんです。
先生が自分に言っていることなんですけど、
地元で材料とかを調達できてこそ伝統工芸と言えると。
これから後継者になろうとする人が
増えていって地元で成り立てる伝統工芸を一緒に作って行けたら嬉しいですね。

 

 
 

ー最後に百瀬さんはこれからどんなものを作っていきたいですか?

伝統を守るべきとことは守り、変化していくところは変化していく。
いい意味で伝統に縛られない。そういうものを作っていきたいです。
竹細工で言えば既存の編み方を生かしていろんな形を作れるようになれたらいいなと思っています。


 

自分のやりたいことに強い信念を持って頑張っている百瀬さん。
百瀬さんのように既存のスタイルにとらわれず職人という道に
挑戦する人がもっと増えていければいいなと思いました。
同じ同年代としてこれからも百瀬さんの挑戦を応援し続けます。

 
 

インタビュー終了後

時間があればお茶でもしていきませんかと声をかけていただき、
百瀬さん夫婦から大学いも・梨・柿をご馳走していただきました。
木のテラスに座りながら、
仕事の話からプライベートの話までいろんな話をして楽しく過ごしました。
このまま松本に居座わりたいと思いながら、
時間が刻々とすぎていく現実から目を背けたかったです(笑)
お話する中で松本市内のオススメのお店を教えていただいたので、
そのお店巡りと百瀬さんに再会するために松本に再訪したいと思っています。


 
 

名前:佐々木 雄大(ささき ゆうだい)
職種:ニッポン手仕事図鑑・プランナー / 離島移住計画・スタッフ
出身:埼玉県出身。
1995年埼玉県生まれ。
茨城大学農学部出身。学生時代から商品開発やイベント企画運営に携わり、食を中心とした活動を行う。
現在、フリーランスとしてプロジェクトや事業などのディレクションやマネジメントを行う。また職業の違う20代で結成されたユニット・unp(アンプ)としても活動中。

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ふたりごと文庫編集長 浅野有希

ふたりごと文庫編集長 浅野 有希
産業能率大学4年生。
大学2年生の時、ニッポン手仕事図鑑のインターン生として参加し、
2周年感謝イベントや期間限定ショップのスタッフとして活動する。
現在は「日本の地方の魅力を伝える仕事」に就くため、日々猛勉強中!

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