図鑑
墨職人|喜壽園
2018年、新たに国の伝統的工芸品に指定された「奈良墨」。奈良市にある興福寺二諦坊の燈明の煤(すす)を集め、膠(にかわ)と合わせて作られた油煙墨が始まりとされており、現在では国産の固形墨のほとんどが奈良で製造され、国内のシェアは9割を超える。その一大産地で創業より150年に渡り、伝統を受け継いできた老舗「喜壽園」。練り、型入れ、削りはもちろん、木灰による乾燥、そしてその後の自然乾燥や磨きまで、今も昔ながらの手法で製造を続け、独特の色合いや摺り心地は多くの書家や水墨画家に愛され続けている。