図鑑
良質な粘土が産出する石見地方で、雛人形や武者人形を飾る余裕のなかった町人の間で愛された長浜人形だったが、需要の低迷が進むにつれて、後継者問題に直面。明和年間(1765年頃)から続くその技術が途絶えようとしていたとき、夫の実家である島根県に引越してきた渡辺福美が後継者として名乗りをあげた。地元の職人に学び、技術を習得。大学で学んだ日本画の技術と独自の発想で作り始めたのが、招き猫だ。膠、泥絵具、胡粉という長浜人形の伝統的な素材と技術を継承しながら、愛くるしい表情を浮かべる招き猫たちを、今日もファンに届け続ける。