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2016年07月27日

気づき、気づかせる努力

こんにちは!てしねこです。

そういえば、セミが鳴いている。
気がついたのは日曜日のことでした。

朝自宅を出て、せかせかと早歩きをして地下鉄に潜り、
駅に到着しても地下からそのままオフィスへと登っていく生活。

なんだかんだ気が張っているのでしょうか?
いつもは、
大通りを行き交う車と人の声しか聞こえないのに、
いつもよりのんびり起きた週末の朝、
久しく聞いていなかったセミの声に気づきました。

清々しく夏本番を予告するセミに、
「忙しいふりしてないで、もっとアンテナを張りなさい」
と言われているようでした。

そんな今日この頃、
佐賀で出会った木彫刻師さんの話を思い出しました。
重要無形文化財に指定されている、
郷土芸能「面浮立(めんぶりゅう)」に欠かせない
お面「浮立面(ふりゅうめん」をつくる職人さんです。

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面浮立とは、
五穀豊穣や奉納神事など祈りを捧げる時に行う民芸。
9月に入ると佐賀県七浦地区中心に各地で盛んに行われます。
職人さんが住む鹿島市も代表的な地域ですが、
時代が流れるにつれて、
その数は減少傾向にあるのです。

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「このまま伝統を途絶えさせたくない。
もっと面浮立を知ってほしい」

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職人さんは取材でそうつぶやきました。

ただ願うだけではなく、
まずは地元の子供たちに語りかけようと思い、
小学校に訪問する活動をはじめたそうです。

子供たちに伝えるのは難しく、はじめは苦労の連続。
それでも、子供と接する中で話し方を変化させて、
とあるもので子供たちの心をつかみます。

浮立面は「鬼」がモチーフとなっていますが、
昔話にも出てくるこの鬼とはなんだろう?

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そう問いかけると、
子供たちは色々な質問をしたり、
鬼について知ろうと興味津々だそうです。

「鬼は自分の心なんだよ。
人の悪口を言ったり、病気になってしまったり、
自分にとって良くない部分が鬼なんだ。
だから、その鬼を良い鬼にして、
これから来る悪いことを追い払う強い心にするんだよ」

それを聞いてハッとしました。
不作、病気、邪念… 自分にとって都合の悪い部分は鬼であり、
その鬼を良い方向へ変えていく。
それを浮立面にというお面に例え、
世の中の改善を祈り踊るのかもしれません。
僕自身の中にスッとそのことが入ってきた。
きっと子供たちも同じ気持ちだろう。
そう思いました。

職人さんは最後に、
子供たち自身に鬼が心であると実感させます。
その方法は鬼の絵を「鉛筆で描く」こと。

「頭に角があって牙がはえている鬼。
大きくても小さくても、
怒っていても笑っていても、
消しゴムで角と牙を消せば人になる。
また角と牙を書けば鬼になる。
誰かをいじめたり、悪口を言ったら鬼になるよ!」

そう言って笑いながら授業をする。
ただ、伝統や歴史を教えるのではなく、
心に残る伝えかた。
色々なことに気づき、気づかせることが、
人間ならではの教え方なんだと思いました。

「そういえば、あのお面の鬼にのこと、
どこかのおじさんが教えてくれたな。」

いつか、故郷のことを懐かしく思って、
またあの踊りが見たいと思う人がいるかもしれません。

その誰かのために、今日も伝統を守る人がいる。

てしねこ

映像で、心躍る“社会科見学”を! 子どもたちに職人の手仕事の素晴らしさを届けたい

 

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https://a-port.asahi.com/projects/nippon-teshigoto/

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ニッポン手仕事図鑑カメラマン てしねこ

名前:てしねこ
職種:撮影、編集、一応チーフ
出身:埼玉県川口市

くだものが好き。りんごなら紅玉。
自由奔放な学生生活から、急遽の映像の世界に飛び込む。
父親と映画を見て育ったという経緯はとくに関係無い。

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