ふたりごと文庫 みんなの「”あの人”に知ってほしい!」をつなぐオンラインマガジン

みんなの「”あの人”に知ってほしい!」をつなぐオンラインマガジン

> ふたりごと文庫一覧

2017年10月11日

熊を獲り、山菜・キノコを採って、除雪する。|山形県鶴岡市

はじめまして。

山形県鶴岡市の山の中、
大鳥というところに住む、田口です。

普段は自然体験学習や土建業のアルバイトなどを
週2~3回しながら、狩猟・採集をしたり、
民俗の調査をしたり、ブログを書いたり、
イベント企画運営をしたり。

『色々やってる』系の人です。

「週2~3回のバイトで暮らしてけるの?」
と思うかもしれませんが、
年金・社会保障を除けば
月6万ほどで暮らしていける。

食い物は自分で採ったりもします。
就活時期に「こんな暮らしがあるよ」って
大学のチューターは教えてくれませんでしたが、
いざやってみると結構楽しいですよ。笑

 


 

早春、山に雪が残る頃には
ツキノワグマを狩りに奥山へ行くのですが、
これが本当に危険。

雪崩が起こるかもしれないし、
滑落するかもしれない。

僕も初めて熊狩りに連れてってもらったときは
滑落して死にかけました。

だけど、毎年春になると、なんだか血が騒ぐ。
一日中歩いている時もあるし、
熊が獲れない時もある。

獲れたら獲れたで重たい熊肉を背負って
何時間も歩いて帰らなきゃいけない。

それでもなんか行きたくなる。
マタギ勘定という言葉があるのですが、
獲れた獲物の肉や脂・骨は玄人も素人も
全員平等に分けるんですね。

山の神信仰にもとづく対自然への精神性や、
雪国で協力し合いながら生きてきた
共同体意識というのが

大鳥の熊狩りに集約されているような気がして。
その場に身を置いていたくなる。

 

 

 

春は山菜採り。

山菜とは、
平たく言えば山に自生している野菜ですね。

わらび、ぜんまい、タラの芽、
イタドリ、フキノトウなどなど……。

山菜は多年草なので
毎年同じ場所に出るのですが、

採り方に気をつけないと
来年度以降から小さくなったり、
出なくなったりします。

採り方はキチンと地元の人に教わりながら、
自分で採ってきた分はその日の食卓に並べたり、
塩漬け、乾燥をさせて保存して
冬に食べたりします。

 

 

 

秋はキノコ採りと木の実拾い。

キノコは枯れ木や倒木に出るのですが、

通りがかりに偶然見つける時もあれば、
苦労して探したのに
見つけられないこともよくある。

だから一層、キノコに会えた時は
目の色変えて採ってしまいます。

舞茸やなめこ、マスタケ、
もだし、カノカ、ヒラタケといった
耳馴染みのないキノコも採れて、

スーパーで売ってるものより
はるかに香りが強いです。

お吸い物にすると違いが一発でわかる。

 

 

 

木の実は栗や胡桃、栃の実がなるのですが、
9月の中旬頃になると
木の下にゴロゴロと落ちている。

ただそれを猿やリスに先を越されないように拾い集め、
処理して食べれるようにする。
しかも胡桃は殻を割らなければ3年もつ。

 

 

 

冬は12月~3月まで除雪生活。

雪が2~3mも積もるので毎朝の玄関前の除雪、
月一回程度の屋根の雪下ろしには骨が折れる。

籠りがちな冬には良い運動になるのですが、

地域の人から頼まれて
毎日雪下ろしをしていると、腰痛が始まります。

 

 

 

11月~2月までは狩猟もやる。

大鳥の人たちは主にカモやヤマドリ、
ノウサギを鉄砲で獲る。

食べて美味しい獣を獲りたがるんですね。
とても本能的。
僕もカモやウサギは獲ったことがあります。

初めての解体は少し抵抗ありましたが、
スーパーでよく見かける
もも肉や胸肉の形にまで捌いていくと、

「美味しそう……」
という感情に変わっていくのが不思議。

お肉を頂くのは勿論ですが、
獣の冬毛はふかふかなので、鞣しもやります。

タヌキやウサギ、イタチ、ニホンジカなど。
大鳥のような雪国では腰皮といって、
腰に巻く毛皮が必須アイテム。

毛皮は水を通さないから、
雪の上に腰を下ろしてもお尻が全く濡れません。

僕はツキノワグマの腰皮を使っています。

 

 

 

あと、最近覚えたのは、マムシの粉薬の作り方。
マムシの頭を叩いて仕留め、
それをまるごと炙って乾燥させたものを
すりこぎですり潰すというもので、

教えてくれた地域のおじいちゃんは
「何に効くかはわからねぇけど、
とにかく元気になる薬なんだ!」
って元気そうに言っていました。

自分でもマムシを獲って作り、
呑んでみましたが、
次の日は朝から調子良かったですよ。笑

 

なんやかんや大鳥に住んで4年が経ちましたが、
自分なりに出来ることが増えたなぁって思います。

移住した当初は「山菜って何?草が食えるの?」
ってところから始まって、
草刈りもろく出来なくて刃を一瞬でボロボロにした。

熊狩りで死にかけた時は、
助けてくれた地域の人から
「酒の一本も持ってこねぇな!」と怒られたし。笑

でも、地域に暮らし、
地域の人と一緒に汗を流しながら
四季を繰り返していく中で、少しずつ
知っていること、出来ることが増えてきた。

それらを身体で受け止めているから、
案外忘れないものです。

 

そういえばこの前、自然体験で
大鳥に魚のつかみどりをしにきた
小学生のお相手をしていて、

「捌いてみたい!」と寄ってきた男の子に
ニジマスの捌き方を教えていると、

「生きてるって感じがするねー!」
と言いながら夢中で何匹も捌いてた。

シンプルだけど、
案外そんなもんなのかなぁーって思ってみたり。

今、僕の暮らしがあるのは
大鳥の人たちがあってこそ。

僕は大鳥が好き。
好きが転じて民俗学という切り口で
大鳥の人が山で活かしてきた
知識や技術を調査・記録していて、

「これを仕事にしたいなー」と思って
この秋に『大鳥てんご』という
通販サイトを立ち上げました。

 

 

 

大鳥の民俗(暮らしの知恵や歴史・文化など)を
Webと紙媒体で紹介しつつ、
地域の人が採ってきた山菜やキノコを通販する。

地域にお金を落としつつ、知識や知恵も含めて
地域がどうにか次に繋がって欲しい
という願いがあります。

情報はディープ極まりないのですが、
頭のどこかでローカルの探求は
グローバルに通用するんじゃないかと思っていて、
それを形にしてみようという試み。

通販サイトは星の数ほどあれど、
超ローカル地域限定のオウンドメディア付きの
通販サイトは僕の知る限りなくて、

お先真っ暗感が凄いけれど、まぁやってみます。
学問の域を超えてみたい。

出来立てホヤホヤなので記事数も少ないのですが、
大鳥のことをちょっとずつ
知って貰えたら嬉しいなと思います。

ではでは。

名前:田口比呂貴
職種:通販サイト運営、マタギ見習い
出身:大阪府

ひろろーぐというブログもやっています。

『大鳥てんご』
鶴岡市の奥山の方、大鳥という小さな地域を舞台に、
そこで暮らす人々が採ってきた山菜や茸を通信販売しながら、
民俗学的な視点も入れてブログや小冊子で情報発信していく通販×メディアのサービス

大鳥てんごHP http://ootori-tengo.com/

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ふたりごと文庫編集長 浅野有希

ふたりごと文庫編集長 浅野 有希
産業能率大学3年生。
大学2年生の時、ニッポン手仕事図鑑のインターン生として参加し、
2周年感謝イベントや期間限定ショップのスタッフとして活動する。
現在は「日本の地方の魅力を伝える仕事」に就くため、日々猛勉強中!

ふたりごと文庫にご興味の有る方、記事を書いてみたい方は
こちらよりお気軽にご連絡くださいませ。

本が発売されました!
NEW SERVICE
SPECIAL THANKS