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2021年07月13日
下妻市の魅力を発信しつづけるために/荒川安莉
都心から車を一時間半ほど走らせた場所にある茨城県下妻市。
市内には、関東最古の八幡様である大宝八幡宮、筑波サーキットといった観光スポットが
多く見られます。
そんな下妻市の地域おこし協力隊として活動している荒川安莉さんに今回はお話をうかがいました。
下妻市地域おこし協力隊第一号としてできることはなにか
「2020年6月22日から協力隊としての活動を始めました。」
そもそも地域おこし協力隊とはいったい何なのか。
地方自治体が都市地域からの移住者を『地域おこし協力隊員』として任命し、
地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、
農林水産業への従事、住民支援などの地域協力活動を行いながら、
その地域への定住・定着を図る総務省の取組のことをいいます。
下妻市には現在協力隊が3名いますが、そのなかでも荒川さんが任命者第一号だったそう。
「下妻市の農業と食のPR活動、筑波サーキットと下妻市民を繋げる活動、
この2つの柱で活動しています。」
社会人になってから料理に目覚めた荒川さんは、料理教室に通い料理ライセンスを取得。
その資格を活かして、いずれカフェ経営をしたいと考えるようになりました。
自身の結婚式では、夫の後輩が経営するつくば市の農場より、
とれたての野菜を仕入れ、ゲストに提供しました。
その際に、地場野菜をもっと多くの人に広める仕事がしたいと強く感じたそうです。
また、夫がアマチュアレーサーとして筑波サーキットを利用しており、
レースの際に、付き添っていたものの、下妻市自体はあまり知りませんでした。
その経験から、筑波サーキットの利用者にもっと下妻市の魅力を伝えたい、と
考えるようになったのが活動のきっかけでした。
「協力隊がどのような仕事をしているのかを伝え、その認知を高めるところから始めました。」
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、
着任前に下妻市に行く機会を作ることができなかった荒川さん。
着任後は、「協力隊ってなにをやっているの?」という疑問に答えながら、
認知を高めることが最初の活動になりました。
その後は、下妻市の農業と食の魅力を伝える活動として、
下妻市の地場野菜を使った料理や特産物の委託販売を『しもつまベジっ娘』として出店。
筑波サーキットと市民を繋げる活動では、
令和2年12月より三社協定会議(筑波サーキット、道の駅しもつま、サンSUNさぬま)の
コーディネーターに就任しました。
下妻市外だけでなく下妻市内にも視野をひろげ、地域の人が活動する場として、
コミュニティスペース「かふぇまる」の利活用にも力を入れています。
野菜には値段に隠れた価値がある
下妻市の農業と食のPR活動は、具体的にどういったものなのでしょうか。
「市内飲食店と農家の橋渡し役として活動しています。」
農家の人たちと仕事をするにあたり、荒川さん自身も農業を経験したそう。
「農家の人たちが抱える問題を一緒に作業しながら聞き、解決策を考えました。
夏場の炎天下での作業や、深夜・早朝に行われる作業が大変でしたが、
自分が実際に体験したからこそ農家さんへの質問もできるようになった」と荒川さんは話します。
関東鉄道常総線で行われている「ビール列車」にて、下妻甘熟梨を使った「梨ジャム」を販売。
また「しもつまライフマーケット」にて、農家の食材を使った料理の販売を実施。
ここでは、お米の食べ比べなど、素材の味を活かした料理を提供しました。
さらに、農家と市内のパン屋との連携を取り持ったり、
YouTubeで収穫の様子を撮影したいと飲食店と農家を仲介したりと、
橋渡しの役割を着々とこなしています。
筑波サーキットからひろがる輪
「下妻のまちがサーキット利用者のニーズと合っていないのが現状です。
しかし、工夫次第で、サーキット利用者が地域経済を活性化できる可能性があると思います。」
筑波サーキットは参加型のサーキットで、ライセンス会員数は約7500名。
2輪(バイク)の会員を中心に、年間15万人以上が利用する茨城県有数のスポーツ施設です。
観客を合わせるとさらに多くなり、埼玉・千葉・東京・神奈川といった南関東から参加している
40代~50代の人が利用者の7割を占めています。
しかし、利用者に下妻市内に来てもらうには少し立地が悪く、
帰り道の高速道路とは逆方向であったり、
そもそもサーキットから市街地まで車で10分程度かかったりといった問題を抱えています。
そこで荒川さんは、まず市民向けに筑波サーキットの認知を高める活動として、
下妻市民向け筑波サーキット体験走行というイベントを開催。
また、レース参加者には下妻市のお土産品を求めている方が多数いることから、
特産品の委託販売も行いました。
「大きいイベントをやるよりも、確実にできるものから始めて認知を高めていきたいです。」
イベントの規模自体はそこまで大きくなく、小さなものから実験的にスタートし、
アンケートや売り上げなどでデータを収集・分析するスタイルをとっている荒川さん。
イベント開催時の情報発信方法の改善や、ばら売りするよりも詰め合わせのほうが
売り上げがよいといった今後に活かせる情報が多く見つかったそう。
小さな輪を繋げてひろげる活動を
知り合った人からつながる人脈や、相手側からの依頼など
一年間で様々なイベントスケジュールをこなす荒川さん。
今後の活動や目標についてお聞きしました。
「筑波サーキット、筑波サーキット利用者、下妻市、下妻市民の4者を繋げる活動を行います。」
筑波サーキットでマルシェ、特産品販売を定期開催できるようにし、
下妻市民向けに対象者を細かく分けながらサーキット体験走行会実施したいと考えています。
また、サーキット利用者に下妻市の認知を高めて、ふるさと納税を伝える活動も行いたいです。
さらに、「市内の飲食店と農家の連携で地産地消を促し、
三社連携(道の駅しもつま、筑波サーキット、SUNサンさぬま)で
コラボ企画も行っていきたい」と、具体的に話していく荒川さん。
実は、着任時に市の担当者から「3年後を見据えた行動をするように」と言われたそう。
任期終了後はどのように考えているのでしょうか。
「野菜を市内だけでなく県外にも広めていき、
農家さんにとってかゆいところに手の届く存在になりたいです。」
今後は、協力隊での経験を自分の仕事に活かしたいそう。
一歩ずつ確実に夢の実現へと歩みを進めるその姿に、自分も頑張ろうと思いました。
名前:耿
現在東京に住んでいる鹿角出身者です。
鹿角、秋田に関連したお店を探すのが好きです。
動物に好かれる体質になりたい。