ふたりごと文庫 みんなの「”あの人”に知ってほしい!」をつなぐオンラインマガジン

みんなの「”あの人”に知ってほしい!」をつなぐオンラインマガジン

> ふたりごと文庫一覧

2018年04月27日

【こいのぼり特集】子どもたちの夢を、こいのぼりに乗せて。―スイミープロジェクト

もうすぐゴールデンウィーク!!

「こいのぼり」について特集しています!
第2回目は、日本全国のみならず全世界でこいのぼりを大空に上げている、
「スイミープロジェクト」の栗須さんです!!

ここからは、栗須さんがお送りします。

 

はじめまして

 
 

はじめまして、スイミープロジェクトの栗須 哲秀(くりす あきひで)と申します。
浅野さんに「5/5までにこいのぼりについて書いて!」とご要望を頂きまして、何とか間に合いましたw

スイミープロジェクトと聞いて、皆さん絵本「スイミー」を想い起こした方も多いのではないでしょうか?

そうです、絵本スイミーの世界観をモチーフにした小さなさかな達が集まった大きなこいのぼりのワークショップイベントを神戸をメイン会場に全国・世界各地で開催しています。

 

 

 
 

ざっくり言いますと、大きなこいのぼりを子ども達が協力して完成させると
大きなクレーンや様々な建造物を利用して掲揚し、こいのぼりが泳ぐ姿を見てもらうイベントです。

今年で開催7年目となり、

今年も神戸市内では、
5/3ハーバーランドモザイク神戸港(アンパンマンミュージアム海側)
5/4ネスタリゾート神戸

市外では、
5/5大阪うめきたガーデン(大阪グランフロント横)
5/3~5沖縄トヨペット湊川店の駐車場

海外では、
3/31台湾・宜蘭頭城國小学校(開催終了)
10/27~28フランス・フレジュス
11/3ニューカレドニア・アメデ島灯台

→ スイミープロジェクトイベント情報はこちら

にて、子ども達が作った大きなこいのぼりが雄大に群泳する姿がみれる【掲揚式】の開催を予定しています。

 

今では小学生以下の神戸市内の多く子ども達が制作に関わった活動となってきました。
さて、こどもの日に向けたスイミープロジェクトのこいのぼりの制作・掲揚イベントですが、
当初はこんな広がり方をするとは到底考えておりませんでした。

私の個人的な想いから活動がスタートしたからです。

 

「今度は私の番だ。」

 
 

1995年1月17日5時46分。
阪神・淡路大震災発生時、当時私は高校3年生でした。
寒い中、寝巻きで外に出るとサイレンが鳴り響き、多くの家屋が倒壊し、
人々の怒号が飛び交っていました。

早朝、変わり果てた街並みにただただ愕然としながら、避難所で過ごした事を覚えています。

地域の住民がごった返した避難所の中学校の教室は狭く、
床が冷たかったのを昨日の様に思い出します。
避難所では大人達が不満や不安を口にして、些細な事で喧嘩をしています。
それを見た子供達が泣いています。

何も出来ない私は体を丸めて小さく毛布にくるまっているだけでした。

 

何日かした時に女子大学生が校庭で子ども達を集めて、絵を描いていました。
子供達の大好きなキャラクターや街の風景を描いては子供達にスケッチブックからちぎりプレゼントしています。

「おねえちゃん、アンパンマン描いてー」
「ドラえもん描いてー」

子ども達は皆笑顔です。

彼女は芸術大学の学生でTVで阪神・淡路大震災の事を知り、
居てもたってもいられなくなり神戸に来たと言います。
私は、絵を描くという事がこんなに子供達を笑顔にさせる事に驚きました。

当時、神戸に全国各地から多くのボランティアの皆さんが駆けつけて頂きました。
色々な形で生活をサポートして頂いた事が本当に温かかった事を覚えています。

そして、同時に年齢がさほど変わらない彼女の行動力に自分の惨めさや生かされた命など色々なことを考えさせられました。

 
 
 

2011年3月11日14時46分。
東日本大地震の発生、テレビで東北被災地の目を覆いたくなる様な映像が流れています。
多くの希望がどんどん失われていく姿が無造作にテレビに映し出されています。
愕然としながらTVの映像を見て、心から湧き出る1つの感情がありました。

「今度は私の番だ。」

あの時感じた温もりを返す時が来た。
何が出来るかは分からないが、何かしなくてはと気持ちだけが動いていました。
あの時の学生の行動が私に伝染したかの様でした。

 
 

 

こいのぼり

 
 

こいのぼりは江戸時代から始まったと言われている民俗文化です。
武士の家に男の子が生まれると旗のぼりが掲げられたと伝えられます。

それをいつしか町民達が中国の故事「後漢書」の登竜門に習って、
鯉が瀧を昇ると龍になるという伝承を元にこいのぼりが作られました。

江戸の町民達の子ども達を喜ばせようという想いからスタートしています。
こいのぼり自体が中国の話をもとに作られた事は後で知って驚きました。
既にこいのぼりは国際色豊かな文化として日本の江戸時代に作られていました。

 
 

文化として400年近くになりますが、
現在大きなこいのぼりを見る機会や場所が住宅事情などで少なくなってきています。
私の会社ではおもちゃと花火の店舗販売と卸売りを行う問屋業者ですが、
小さなこいのぼりの製造卸販売もしています。

こいのぼり文化が小さなこいのぼりを室内やベランダで飾るだけの文化に変わってきている事を肌で感じていましたので、
いつか大きなこいのぼりを作る様な事業が出来たら、
子ども達も喜ぶだろうなと日々の業務の中でも感じていました。

 
 

しかし、どうやって作るのか?掲げるのか?という問題がありました。

そんな時、クレーン会社の盛興業株式会社がクレーンを使ったこいのぼりの掲揚を行なっている事を知りました。
盛さんでは昔から約5mのこいのぼりを10~15匹をクレーンで揚げていました。

「大きなこいのぼりを掲げることで神戸から希望を届ける事ができないだろうか。」

 

クレーンを使って、大きなこいのぼりに乗った神戸の子供達の元気を東北に届けよう!
神戸の子供達が制作することで温もりを被災地の子供達へ。
私自信が経験した様に、温もりを受け取った子供達がまた別の被災地へ温もりを届けるそんな循環を生み出す活動を目標としました。

スイミープロジェクトの発足です。

 

 

 
 
 
 
 

スイミープロジェクト

 
 

 
 

あまり勉強は好きな方ではありませんでしたが、
小学校2年生で勉強した「スイミー」は良く覚えています。

小学校の国語の教科書で学ぶ「スイミー」は多くの夢と希望を与えてくれました。
スイミーの様に魚群で出来たこいのぼりがあったら、面白そうだなと授業を受けながら思った事があります。

 

団結する事で大きな敵を追い払ったスイミー達の様に、東日本の人々にも震災の困難を乗り越えてもらいたい。

そんな想いが多くの神戸の子供達の想いを東北に届ける『小さなさかなの大きなこいのぼり』スイミープロジェクトという形になりました。

 

 

 
 

スイミープロジェクトは、日本伝統のこいのぼり文化と絵本スイミーの世界観、
夢を描く事を大切にする普遍的な文化を基に、子供達が文化交流を行ないながら、

「子ども達の成長を祈願する」という日本の節句文化を体感してもらう事

そして、こいのぼりの制作・掲揚を通じて、

『個性を出してもいいこと』
『友達と協力すること』
『多くの人たちとつながることで大きななにかができること』

を学ぶ機会を作る事業です。

 

決して一人では作る事ができない大きなスイミーこいのぼりを多くの友達と協力する事で完成していく過程は、まさにスイミーの魚達そのものです。

 

被災地支援

 
 

スイミープロジェクトの活動の発端が「被災地の子ども達を応援する事」から始まりましたので、
近年国内・海外での被災地支援で声をかけて頂ける機会が増えました。


 

 
 

2014年
東北3県での制作イベントを開催、掲揚式を行いました。
サイクロン被害があったフィリピン・セブ島へ神戸の子供達が作ったスイミーこいのぼりを国境なき災害支援隊を通して寄贈しました。

2015年
イタリア・ラクイラ地震で被災した子ども達を励ましたいとPepe氏から連絡があり、
イタリア中部ラクイラで制作イベントを開催。

サイクロン被害があったバヌアツ共和国へ神戸の子ども達が作ったスイミーこいのぼりを神戸国際支縁機構を通して寄贈しました。

広島土砂災害があった広島市安佐南区で神戸の子ども達が作ったスイミーこいのぼりを掲揚しました。

ネパール大地震があったカトマンズへ神戸の子ども達が作ったスイミーこいのぼりを掲揚・寄贈しました。

 

 

 

 

 
 

神戸の子ども達の元気と笑顔を届ける事で、被災地の元気と希望を取り戻す事が一番の目的ですが、
神戸の子ども達に被災地の状況を知ってもらう機会としています。

そんな中、2015年スイミープロジェクトの活動中盤の4月25日にネパール大地震があり、
居てもたってもいられなくなり、ネパールに急遽訪問する事にしました。

 

ネパールでの活動

 
 

神戸の子ども達が制作するネパールの子供達にプレゼントするスイミーこいのぼりの準備に取り掛かり、
スイミープロジェクトのメインイベント掲揚式と5月5日のこどもの日イベント中に多くの子ども達にネパールの子供達へメッセージをもらいました。

完成したスイミーこいのぼりとネパールの子供達とワークショップを行なうこいのぼりの資材や救援物資であるテントや寝袋、
弊社からは子供の景品おもちゃやお菓子など重量制限いっぱいまで荷物に詰め込み、
神戸国際支縁機構の岩村氏とカトマンズへ飛びました。

カトマンズ市街地はレンガの瓦礫の山で、世界遺産で知られた仏閣が壊滅的な被害を受けていました。

 

市民の多くが余震の恐れから路上での生活を強いられています。
到着当日朝方に余震震度5強の揺れを感じ、阪神大震災の時の事を思い出しました。
野犬や野鳥が多いネパールでは、動物達のいっせいのわめき声がパニックを引き起こす原因の一つになるかもしれないと感じました。

ネパールカトマンズから車で約3時間西側に行ったバグマティ県にあるサティワティ小学校と
カトマンズ市街地から北西車で約1時間程度のDharmasthaliダルマスタリ村で神戸の子供達が作ったスイミーこいのぼりの掲揚を行ないました。

 
 

スイミーこいのぼりを寄贈する予定でもって行きましたが、
この地区の家屋倒壊の数の多さに絶句。

掲揚はまた落ち着いてからお任せしようと思っていましたが、
岩村さんが現地ボランティアリーダーのハリ・マハラジャンさんと話をして、
「是非、子供たちに見せてやって欲しい」という事になり急遽大人達が集まり瓦礫を掻き分け、スイミーこいのぼりがダルマスタディの空を泳ぎました。

 

 

 
 

子ども達がこいのぼりを指差しながら、何かを言っています。
わかりません、でも、皆笑顔です。

 
 

また、子ども達一人一人が持ち帰られるミニスイミーこいのぼりのワークショップも開催しました。

道具を日本から持参し、子ども達に1からこいのぼりの制作を行いました。
子ども達は夢中になって、オリジナルのスイミーこいのぼりを制作しています。
表側は自由に色づけした後、接着剤でキラキラ素材をデコレーションします。
裏側は自分の目標や夢を書いてもらいました。

この日の日差しはきつく、制作途中でクレヨンが溶けてしまいました。
ドクターと書く子供が多く、初日に病院で多くの方が待っている姿を見かけました。
医者が足りていないという状況もあるのかもしれません。

 


 

 

 

 

完成後、ジャックフルーツ(ドリアンの酷似した果物)の木の下で、乾燥させた後、
皆に名前と夢の発表を一人ずつしてもらった後、
ポールと吹流しを付けて子ども達にプレゼントしました。

 

多くの子ども達が自分だけのこいのぼりを嬉しそうに、
少し誇らしげに眺めながら風で泳がせていたのが印象的でした。

悲しそうな顔・不安そうな顔の子ども達がスイミーこいのぼりの制作・掲揚を通して、
子ども達の歓声と笑顔が広がり、
大人達もにこやかになれた時間を作れたかなと想います。

復興に向けて、スイミーこいのぼり達がカトマンズでこれからも子供たちを元気付けてくれる事を祈ります。

 


 
 

帰国して数日経った後、ネパール現地へ日本から災害支援で参加されている方から
嬉しいメッセージと写真を頂きました。

『カトマンズ郊外のダルマスタリという集落で支援活動を行って数日が過ぎたころ、
空に大きく泳ぐこいのぼりが現れました。
現地の子供たちだけでなく、ボランティアに訪れた我々にも勇気と安堵感を与えてくれました。
ありがとう。』と。

こいのぼりのボディに書かれた【スイミープロジェクト】の文字を検索して、
SNS(facebook)を通じて、感謝の言葉を頂きました。

子ども達だけでなく、日本から訪れたボランティアの方々の心の支えにもなった日本の誇りこいのぼり文化と
そのこいのぼりをスイミーの絵本の様に力を合わせて作ってくれた神戸の子供たちに感謝いたします。

 

 
 

これまで活動の成り立ちから活動が変化してきた事を説明しました。

こいのぼりを通じた文化交流という側面もありますが、
一番の骨子となるのは子ども達の夢を応援する活動です。

夢=目標は世界共通の子ども達の希望です。

 

 

 

 

活動を続けて7年目になりますが、夢を描けないお子さんにたまに出会うことがあります。
自分に置き換えたらどうだろう?

宇宙飛行士、サッカー選手、水泳選手、絵描き、登山家etc
色んな経験をする中でそんな夢を描かせてもらっていた様に思います。

夢を持つ事、それは子ども達の成長の為の第一歩だと考えます。
子ども達の夢と成長を応援する活動としてこれからも活動を続けられればと思います。

 

 
 

スイミープロジェクト代表
栗須 哲秀(くりす あきひで)

 

 

名前:栗須哲秀(くりす あきひで)
職種:スイミープロジェクト実行委員会 実行委員長/株式会社クリス(玩具・花火卸売問屋)代表取締役
出身:兵庫県神戸市

東日本大震災での被災地への応援イベントとして、
スイミープロジェクト
を立ち上げる。
日本の「こいのぼり」を、海外に広める児童育成・文化交流事業として拡大し、世界各地でのイベントの開催を通じて「ぬくもりの循環」が生まれることを目指す。
また、玩具花火を使った地域貢献活動として、
大人達が作る子供達への花火大会
の企画運営も行い、お父さんや地域の大人達が花火師になることで子ども達のヒーローになる花火大会を作る。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ふたりごと文庫編集長 浅野有希

ふたりごと文庫編集長 浅野 有希
産業能率大学4年生。
大学2年生の時、ニッポン手仕事図鑑のインターン生として参加し、
2周年感謝イベントや期間限定ショップのスタッフとして活動する。
現在は「日本の地方の魅力を伝える仕事」に就くため、日々猛勉強中!

ふたりごと文庫にご興味の有る方、記事を書いてみたい方は
こちらよりお気軽にご連絡くださいませ。

本が発売されました!
NEW SERVICE
SPECIAL THANKS

ニッポン手仕事図鑑公式ツイッター

ニッポン手仕事図鑑公式Instagram