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2018年08月30日

伝統工芸のストーリーや魅力を翻訳するために―古澤恵太

職人魂に心を揺さぶられ、隣にいる誰かに伝えたくなる。
そんな職人の生き様を仕立てる「仕立屋と職人」さんの
個性豊かな4名の方々にリレー形式で登場してもらいます!

第一弾ではワタナベユカリさんが、二弾では石井挙之さんが登場し、
熱いパトスを記事に込めてくれました。

 

第三弾は、プロデュース・サービスデザイン担当の古澤恵太さんです!お願いします!!

(photo by Tomohisa Kawase)

HP shitateya-to-shokunin.jp
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Facebook 仕立屋と職人
Instagram shitateya_to_shokunin
note 仕立屋の日記

 

“職人の生き様を仕立てる”とはどういうことなのか?

 

第三走者は、仕立屋と職人で参謀をしている古澤が担当させていただきます。
活動を始めて約1年半。

お陰様でどこへ行っても「仕立屋さん」と呼ばれることが増えてきました。
私たちの名前は、仕立屋と職人。

 

仕立屋と、職人がタッグを組んで伝統文化のストーリーや価値を未来に伝えていく。
そんな想いを込めてつけたチーム名です。


 

そんな私たちの活動の根底にあるのは、職人の生き様を仕立てること。
心の揺さぶりが連鎖していく世界を目指して日々活動しています。

「じゃぁ、実際は仕立屋さんは何をやってるの?」
今回はそんなお話を参謀の視点でお伝えできればと思います。

なぜコンセプトが必要なのか

 

私たちが掲げるコンセプト“職人の生き様を仕立てる”。
ここにたどり着くまでには喧々諤々、紆余曲折がありました。

1本目、2本目の記事を読んでいただいた方ならば何となくお分かりかと思います。
はいそうです。ワタナベ、石井のあっつあつのパトスとのぶつかり合いです。


 
 

仕事終わりの中華料理屋で麻婆豆腐を食べながら、
活動を始めたきっかけや自分が仕立屋をやる理由をひたすら棚卸し。
そこからワタナベのアパートで約16時間、、、狂気に満ちた一泊二日の合宿を経て、
いまのコンセプトが生まれました。

 

なぜそこまでしてコンセプトが必要だったのか。

メンバーは、三度の飯よりモノづくりが好き。
アイディア出しをすれば、どんどん話が膨みます。
パソコンの画面越しに、気づいたら日を跨でいることもしばしば。

私たちのいいところは、無理なく理解しあえるくらいには似ていて、
驚きがあるくらいにはお互いが違っていること。
一人では思いつかないような切り口や、満場一致でいいね!
と盛り上がるアイディアも生まれてきました。


 

ただその違う部分が、いつもプラスに働くわけではありません、、、
お互いの言葉に抱くイメージのズレや、認識の違いなどから、
進んでいるようで今ひとつスピードが上がらない。
そんな状態になることも。

 

大切なのはこの議論が、職人のストーリー、伝統文化を未来に伝えることに貢献するのか。

「なぜやるのか」「何が仕立屋のきっかけだったのか」
そこに立ち返ったことで、進む方向を再確認することができました。

メンバーが共通言語を持ち、試行錯誤しながら迷わず進むために。
そして、この先、興味を持ってくれた人に仕立屋の目指すビジョンや価値観を伝えるために。

道無き道を進むための地図として、コンセプトが必要なのです。

 

コンセプトから生まれた未来会議

 

2018年3月に、シルク産業の職人、市役所や技術センターの行政関係者、地域の方、
そして外部からゲストを招いて長浜シルク産業未来会議 vol.1を開催しました。
※詳しくは仕立屋のブログ(縫子ワタナベ編装飾イシイ編)をご覧ください。

プログラムは、大きく3構成。
リサーチの共有(素材としてのシルク、長浜シルク産業について)、長浜シルク産業の強み・課題の抽出ワーク、心を揺さぶるアイディア出しです。

ワクワク感を演出するために、
会場の壁面にリサーチ情報がびっちり書き込まれた模造紙を張り出したり、

実際のシルク生地を展示したり、
職人にはとっておきの長浜シルクの着物を着てもらったりと、
これでもかと言うほどに長浜シルク一色に作りこみました。

photo by Tomohisa Kawase
 

未来会議では、共創のアプローチ取り入れました。
これは、様々な立場の関係者を一堂に集めて、いち参加者として議論に加わってもらう方法です。

リサーチ内容は、時代を遡り、絹の起源から、
卑弥呼の時代の絹の生い立ちを経て、現代のシルクの最新技術についてまで。
産業に関わる職人だからこそ分かる課題や外部参加者の客観的な視点だから見えた強みなど、
参加者の立場の違いを上手く取り入れた結果、
400以上の課題と強みのカード、300以上のアイディアが生まれました。

 

実施の背景には、文献やフィールドリサーチをした結果、
情報や課題が多すぎて、何から手をつければいいのか。
どうやって進めればいいのか。
正直にいうと、少し行き詰まっていました。

そこで、関係者を一堂に集め未来を考える同じ時間を共有すること、
そして何かが始まるワクワクする空気を作ることにしました。

この未来会議の一番の成果は、
それぞれの視点からシルク産業の未来について考える時間を持てたこと。
そして、当事者としての関わり方を想像できたことだと思っています。

photo by Tomohisa Kawase
 

「いや~~面白かった」
言葉は違えど、様々な立場の参加者からポジティブな意見をもらうことができました。
いま、進めている商品開発のアイディアの一つはこの未来会議から生まれたものです。

 

参謀の役割とは

 

突然ですが、「参謀」て響きとても悪そうじゃないですか?
裏で悪企みをしている感笑

私が考える仕立屋と職人の参謀の役割は、
コンセプトに沿って、解決すべき課題を見つけ出し、
色々な人を巻き込みながら解決策を作ること。

そのために商品のコンセプトも書くし、映像も撮るし、ワークショップも作るし、
ワタナベが壁にぶち当たった時の人生相談にも乗ります笑。


 

そして、参謀である私が常に考えていることは、
“やりたいをやってみる、やってみるをやり続けるにする” というとてもシンプルなこと。

仕立屋は、個人が勝手に色々なことを始めます。
職人のインタビュー連載や他地域への視察、試作品の改善インタビューなど。
だけど軸は“職人の生き様を仕立てる”からブレません。
目指す先さえ決まっていればやり方は問わない。

色々な人と関わる中で思うのは、
“相手が正しい、そして自分も正しい”が往々にして起こるということ。
そんな時に大事なのが、どんな成果を作りたいのか、に尽きると思います。

その余白での試行錯誤の積み重ねが、
結果としてユニークなチームのキャラクターや実績になっていく。
まだまだ志半ばではありますが、そんなことを毎日考えています。

 

私自身は、学生時代は映像制作を学び、
卒業後は、広告、写真、デジタルアートの領域で仕事をしていました。
新卒で入った会社を辞めた後は、カメラひとつでインドを旅したり、
富士山の山小屋に住み込んで写真を撮ってみたり、
ロンドンのストリートに通ってグラフィティアーティストとプロジェクトをしてみたり。

photo by Keita Furusawa POPLE WITH COLOURS
 

いまは仕立屋と職人の他に、デザイン会社でサービスデザイナーとしても働いています。
結果、パラレルワークというやつをやっています。

心の赴くままに面白いことをしたい。
だけど、このままで進んでいいんだろうか。
良くいえば色々な経験があって面白い、だけど悪くいえば一つのことやり続けている人と比べて深さがない。
どこかそんな後ろめたさがありました。

しかし、悩みながらも飛び込んだ経験が、
人とは違った考え方や自分にはない才能を持った誰かと何かを作るのが楽しい、
といういまの働き方に繋がる気づきを与えてくれました。

会社では企業の新規事業開発や組織変革のお手伝いを、
仕立屋と職人ではチームとしての戦略やプロジェクトの立案と推進を、
最近は有り難いことに個人でも相談を受けることが増えてきました。

 
 

「結局、参謀て何をやってる人なの?」の答えにはなっていない気もしますが苦笑。
“何をやっているのかわからないけど楽しそうな人”がいま一番楽しく働ける肩書きなのかもしれません。
カメレオンのように、その時に足りない役割を担う。
そんなまだ名前のないポジションをもう少し楽しみたいと思います。

まず、やりたいをやってみる。そして、やってみるをやり続けるにする。

それは、一つの仕事だけをという意味ではなくて、
自分の軸をブラさずにやり続けることなのだと思います。

仕立屋と職人のメンバーは色々な才能を持っています。
しかし、まだまだ足りないところばかり。
もしこの連載を読んで、少しでも活動やキャラクターに興味を持っていただけた方、
何かご一緒できる可能性がある方はお気軽にご連絡いただけたら
(ご感想をいただけたら尚一層)とてもとても嬉しいです。

第三走者として、少しでも2人の伏線を回収して最終走者にバトンを渡すべく書きました。
最後は、運屋・堀出大介が締めくくります。

 

名前:古澤恵太
職種:仕立屋と職人 参謀, プロデューサー | サービスデザイナー
出身:群馬県

自分にない才能を持った誰かと、誰かを幸せにするモノ・コトを作る。
仕立屋と職人・企画、プロデュース担当。
 
illustration by tottie

仕立屋と職人

職人魂に心を揺さぶられ、隣にいる誰かに伝えたくなる。そんな職人の生き様を仕立てるのが、仕立屋と職人の仕事。
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