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2018年02月06日

工芸と若者がつながる場所を求めて

自己紹介

 
 

はじめまして!
この度、ご縁あってふたりごと文庫に寄稿させていただくことになりました。
田中絢子と申します!

絢子と書いて「じゅんこ」と読みます。

 

まずは、軽く自己紹介をさせてください!
 

私は栃木県出身で、
現在は秋田県に住んでおり、秋田市にある美術大学の大学院に在籍しています。

大学院前は、山形県にある芸術大学の工芸コース漆芸専攻に在籍しており、
漆という素材を使った作品制作をしていました。

 

学部時代の作品がこちら…。


 

 
 

課題で、木地から漆器を制作したり、アクセサリーを
制作して学祭や東京などで販売をしたりしていました。

現在、在籍している大学にも漆をできる環境が整っているので、
今でもちょこちょこ作品を制作しています。

 
 

これが、最近の作品です。


 

こちらの作品は、昨年の10月に福島県会津若松市で開催された
「あいづまちなかアートプロジェクト2017」に
出品したものです。
 

漆といえば、お正月で使われるような重箱や器など
金粉が施してある華やかなイメージがありますが、
私が作る作品は、主に黒塗りのみのものが多いです。

漆についても、これからお話しさせていただきますので、
引き続き読んでもらえると嬉しいです!

 
 

取り組んでいること

 
 

自己紹介でも書きましたが、現在、私は美術大学の大学院に在籍しています。
そこで私は、学部時代から扱っている「漆」をベースに、
これからの工芸と若者がつながる場所の展開について研究を行っています。

 

そもそも「漆」という素材は、
ウルシノキと呼ばれる木から採取される樹液で、日本では生えている地域が少なく、
また、その樹液を採取する人も数人(しかも高齢)しかいないため、
すごく貴重な素材なのです。

そんな漆は、主に漆器という形で
生活の中で使われてきました。

しかし、今となっては一般家庭で、
漆器を購入することや使う機会は少なくなってきています。

 
 

私は、見る・使う頻度が減ったことから、
若者が工芸に関心を持つ機会も減っているのではないかと思いました。

そこで、”ハレとケ”をテーマに
若者にも手に取りやすく、季節に合わせた漆器を制作し、
実際にそれを使って体験する場所を作ることで
工芸と若者がつながるのではないかと考えました。

 

今は、若者にとって手に取りやすい漆器はどんな形や色か、また
その漆器が置いている場所とはどんな空間なのかなどを研究中です。

いずれは、私の出身地である栃木県と在住している秋田県のどこかで
そういった発表の場を設けたいと考えています。

 
 

きっかけ

 
 

まず、こういった研究に取り組んだきっかけを話す前に、
なぜ私が美術へと進んだことから話して行こうかと思います。

私は、高校生の時に地元の美術大学で
陶芸を学ぶ機会がありました。

これまで絵を描くことばかりしていたが、
自分の手で一からモノを作るという感覚の違う制作をした時に、
伝統に触れるということになんとも言えない感動をしました。

 

その感動から、工芸を学びたいと思い美術系の大学へ
進学することに決めました。

それから、大学で漆という素材に出会い、今に至ります。

 
 

しかし、工芸を学んでいく過程で展示を行うたびに、
工芸とは自分を含め、どんな存在なのか悩むようになりました。

私は芸術系の大学で、美術という大きな枠の中で工芸を選択し、
漆という素材を知っている…。
けれど、そうでない人にとっては、工芸は高価なものであるということや、
自分たちの生活とは無縁のものというイメージが前提にあるのではないかと考えました。
 

そんなことがきっかけで、
私と同じ年代の若者に工芸という存在とその存在があったからこそ、
今の生活があるということなどを発信していける人になりたいと思ったことが、
大学院へと進学し、研究している理由です。

 
 

「想い」

 
 

これまでのお話を聞いて、生活の中で工芸品を使ってほしいと
言っているように聞こえますが、
私は必ずしもそうであるべきではないと考えています。

今は手軽に安価な食器がどこでも買えます。
実際、私も家ではそれを使っています。

じゃあ、それで良いかというとそうではないと思います。

 

(ここからは、私個人の考えですが)
工芸というのは、昔から私たちの生活の中に存在していた
最も身近な実用品です。
それが時代とともに変化して、私たちは使いやすさや愛着よりも
便利で早くて、コンパクトな物を求めるようになりました。

そのため、物が壊れたらすぐに捨て、買い換えることができる時代となり、
その習慣が身についてしまっていると私は自分を含めて、そう感じます。

そんな時代だからこそ、生活の中に一つでも、
長年、愛着を持って共に寄り添える工芸品があったなら、
きっと工芸そのものや工芸品があるという生活に対する見方が
変わってくるのではないかと考えています。

 
 

まだまだ、言いたいことはありますが、
記事に収まりきらないのでこの辺にしておきます(笑)

私が取り組んでいることについて、
美術的な目線で話してしまった部分もあるかとは思いますが、
これをきっかけに、工芸について興味が湧いてきたのであれば
嬉しい限りです!

ぜひ、皆さんも自分たちの周りにある工芸品を探してみてくださいね!
きっと新しい発見ができると思います!

 
 

最後に、私が今、住んでいる地域で
年末にめちゃめちゃ雪が降った日の写真をお見せします。


 

秋田の冬はこんな感じで、いつも寒いですが
いろんな文化や美味しい食べ物がたくさんあるので、遊びに来てくださいね!

それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました!

 

名前:田中絢子
職種:大学院生
出身:栃木県

漆という素材を使って、漆器やオブジェ、アクセサリーに至るまで幅広く作品を制作。工芸と若者がつながる場所を作るため研究中。
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