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2018年03月29日

【お花見特集】没入してこそ、春。

ふたりごと文庫編集長の浅野です。
各地でのお花見がにぎわっていますね!あったかくて幸せです。

現在、各地の「お花見」を特集しています。

第四弾は、二回目の寄稿となる山梨県の大学生・久保田真司さんです。
久保田さんはnoteでエッセイを書いている、パン屋の息子さん!
前回の記事も是非、読んでみてください~!

ここからは、久保田さんがお送りします!

【お花見特集】没入してこそ、春。

 
 

この冬の激烈な寒さはもこもこフリースと一緒に、タンスの奥へと仕舞い込んだ。

「よういドン」で、同級生が就活を開始した三月上旬。
困ったもので、SNSで見かける友達は就活で疲弊したものが増え、
「まだ三月だよ?」とコメントしたくなる親指を必死になだめることもしばしば。

就活から縁遠い「パン屋の息子」である私は私で、
自走して価値を生み出さなきゃと、世間に煽られるように焦る日もある。

 

 
 

そんな日々を掻い潜るようにして、
四月から「新社会人」に生まれ変わる彼女と映画に行ったのは、三月半ばのことだ。

弾けるようなミュージカル映画を鑑賞し、
「out of 自分」的なエンターテイメントの中に、「自分」を探す映画だったね、
なんてキザにも程がある話をした。

 

パソコン、スマホの画面とはまるで違うスクリーンに引き込まれる瞬間は、
人生と言う特殊な時間においても、なお特殊な時間を体感できる。

時に、映画を評するにあたって、「引き込まれる」と言う場合があるが、
私が思う、映画を褒める最上級フレーズがコレにあたる。

映画において、最も重要なことは、感動ではなくて「没入感」であり、
没入感に付随したスリルと、感動があるから映画は良いのだ、と主張するのは、あくまでも私だ。

ミュージカル映画にハズレがないことは、多分ではあるけれど、「没入感」が関係している。

ダンスと音楽はヒトの遺伝子的な部分に染み付いてる最強のグローバリズムであって、
無意識のうちに私たちは、映画から感じるヒトの動き(ダンス)と音楽に没入しているのだ。

 

ミュージカル映画を見た翌週。
気温と気候が抜群ゆえ、気の早いお花見へ馴染みの公園へ出向いた。

映画同様に、お花見、ピクニックと言うものが、私は好きである。
去年のこの時期、いや、4月のあたまだったか、山梨の「ふるさと公園」でピクニックをした思い出がある。

昔の写真を見返すと、照れくささから、
私の頬もほのかに桜色になるのだが、それはさておきである。

去年のお花見と言えば、
横浜カップヌードルミュージアムで作ったオリジナルカップめんと、
お湯を持参してのお花見であった。

 

古墳広場を正面に、公園の端にあたるベンチに腰掛け、お湯を注ぎ、3分待つ。

今からオリジナルカップめんを口にするワクワク、隣に座る大切な人と、
春らしい景色の芝生広場を駆け回るちびっ子らは、言語化の余地すらない多幸感に満ち満ちていた。

「花より団子」なんて言うけれども、本当は多分、花も団子も大事な景色の一部なんだと思う。

鮮やかなピンクで色づく公園のベンチに腰掛け、カップめんをすする私たちもまた、
春の景色の一部であっただろう。

「あれ?没入してない?」

お花見が楽しい要因は、現実に内在する非日常性を感じるからだと勝手気ままに感じている。。

普段、適当に出向き散歩する程度の公園に腰を下ろし、ご飯を食べる、
というありふれた動作のかけ算は、
日常と非日常の垣根を緩やかに破壊し、自身すらも景色のなかへ溶け込ませてゆく。

春の景色に没入したなら、映画同様、後は感動するだけだ。

レジャーシートにお弁当を広げ、くつろぎ、芝生と体が馴染む頃、
身も心もお花見に没入した私は思うのだ、「あぁ、お花見って、いい。」と。

「そう、お花見って、映画なんですよね。」

自分らを含めた春の景色に入り浸り、普段なら何てこと無い食事をシートの上で、
どこかぎこちなく摂りつつも、隣には気の許せる大切な人がいて、
遠くには誰とも分からない人たちの春が満遍なく広がっている。

こと人生における、没入感。

「お花見においての入館料は、レジャーシートとちょっとしたお弁当だね。」

随筆を書きながら見返していた写真フォルダには、去年収めた春の景色が幾つかあって、
そういう、どこっかからそのまま春を持ってきたような思い出の断片に、「はよはよ。」と、再びのお花見を催促されている気さえする。

 

 
 

春の思い出は、特殊な「春」という景色に没入するがゆえに得られる自身の心の機微である。
皆が直面する就活も、いつかの春の思い出になることは、もう決まっているのだ。

「小忙しいこともまた春らしさだから、たまには歩く足を止めて、芝生に身を預けてみてもいいんじゃないかな。お花見にレディースデイとか無いけど。」
なんて、どうかな。

 

 

久保田真司さんの過去記事『「結び に、」―久保田真司

名前:久保田真司(くぼたまさし)
職種:学生
出身:山梨県

山梨で、パン屋の息子をしながら、エッセイを書いている子です。
記事を通して、なにか、良い縁になったら嬉しいかなぁて。
note:久保田真司

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