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2018年10月24日
「好き」からはじまる地域活性 -武田昌大さんインタビュー
こんにちは、ふたりごと文庫編集室の浅野有希です。
ふたりごと文庫編集室で発足したメディア部のメンバーで、シェアビレッジの村長・武田昌大さんにお話を伺ってきました。
第二弾、私が取り上げるテーマは『地域活性』です。
勉強になるお話をたくさんしてくれ、うんうん……!と頷いてばかりでした。
武田昌大さん
秋田県出身
東京のゲーム会社に就職した後、地元秋田県の活性化を決意。
2010年 若手米農家集団トラ男(トラクターに乗る男前たちの略称)を結成。
2015年 「シェアビレッジ」を立ち上げる。
2017年 おむすびスタンドANDONを東京・小伝馬町に設立
“ブーム”としての地域活性化
―地域活性、今ではある種ブームになっていませんか?
最近はやっぱり、イベントにきてくれる若者も多くなってきたかもしれません。
国も「地方創生」や「関係人口」というワードで予算を出していますね。
もちろん、国が提唱することにはいい側面もあります。多くの人々が自分の地域をよくしようと動き出すきっかけになります。でも、言葉だけが独り歩きしてしまうケースが良くないと思うんです。
なぜなら、それが「答え」だと思ってしまうことが多いからです。いろんな地域に行って講演していますけど、そう捉えている地域も少なからずありますね……。
―「答え」だと思ってしまう、たしかにそうかもしれません。
「正解」をすぐに求めてしまう地域や人が多いと思います。極端に失敗を恐れてしまっているんです。すべて、インプットが足りていないからなんですよね。いろんな情報を知らないから、発想が浮かばないのかもしれないです。
本当はできるかもしれないのに、失敗するかもしれないからやらない。
でも、国が言っているからできる……という流れができてしまっている。
“ブーム”になることは、思考停止してしまうから良くないですね。
本来はそこをきっかけにちゃんと地域と向き合って各々が考えることが大事だと思います。
「好き」という愛情が一番の原動力
―では、国と一緒に事業を進めていくってことはやらないのですか?
それは、果たして誰が面白いと思うのでしょう?その地域の人・またはお客さんがワクワクするのでしょうか?
国と一緒にやる・やらないではなくて、僕は「面白いこと」をやりたいだけなんですよ。それが僕らの軸です。
年貢を納めて村をつくるってコンセプトは、きっと今の行政ではできないのかなと思います。民間だからこそ県や市町村という枠を取っ払って秋田や香川に「村」を展開して、繋ぐということができますしね。
……というのは建前で、僕は「面白いこと」がやりたいだけなんですよ。それだけです。
―だからシェアビレッジの資金は補助金などではなく、クラウドファンディングで集めたのですか?
まず僕の考え方は、「3km²」っていう方程式なんです。
3Kは価値・課題・解決で、M²はメンバー×マネーを意味しています。
これは3KからM²に流れていくイメージです。
最初に価値・課題・解決という段階で、コンセプトからアイデアを生み出していきますよね。
その後、アイデアからプロジェクトに落としていくときに、一人じゃできないからメンバーとマネーが必要なんです。
ただ補助金ビジネスは、方程式の最後の「マネー」から始まるんですよね。
補助金があるから団体をつくるためにメンバーを集めて、「何の課題を解決する?」という価値を抜かしちゃうんです。“好き”っていう愛情が根っこにないと事業って続きません。
本来は3K(価値・課題・解決)から始まるべきで、補助金ビジネスはお金がなくなる・上手くいかなくなると終わることがほとんど。
でも、「これのためにやってる」というものがあれば続くんですよ。
だから補助金に頼るビジネスっていうのは僕はやりません。僕が好きなものしかやらないです。
あとは、地域で自立するビジネスモデルでないといけませんから、
ちゃんとお客さんからお金を取るビジネスをやりたかったこともあります。
―なるほど!!すごくわかりやすいです。では、クラウドファンディングの利点は何かあったのですか?
クラウドファンディングはこのビジネスモデルと相性が良かったんです。
村民は年貢の値段ごとにランクが変わります。「ブロンズ村民(ブロンソン)」→「シルバー村民(シルソン)」→「ゴールド村民(ゴールソン)」→「名誉村民(メイソン)」という風に。
これがクラウドファンディングの仕組みと似ていますよね
元々、日本にクラウドファンディングが出始めた頃から挑戦していました。
レディフォーの最初のプロジェクトの一つが「トラ男」です。馴染みがあったし、ノウハウもあったから挑戦できました。
地域活性化は、「一人一人が頑張ること」
―地域活性化の「答え」ってないと思うのですが、武田さんはどう考えていますか?
僕は「みんな、一人一人が頑張る」ことが大切だと思っています。
地域活性でありがちなのが、人のせいにすること。
町って一人一人の“人”でできています。これを意外と忘れがちなんですよ。
意識とお金と時間を使って、それぞれが地元について考えないといけません。
一つのイケてるプロジェクトがあればいいわけではないんです。能動的に動く人を増やしていかないといけませんよね。
―武田さんはきっと、外に出たからこそ分かるのですよね。
お金がないならつくる、仕事がないならつくる、出会いがないならつくればいい。
これは外に出たからこそ分かったことなんです。そんな人達がちゃんと地元に還元しないとだめですよね。
―外にいる人たちができることってなんでしょう。
やっぱり、地域にはインプットが大切です。情報と刺激を与えていくというのが、今の秋田には必要だと思います。
例えば、地域にいる人は「初代iPhone」なんですよ。でも外にいる僕らは「iPhone X」ですよね。僕らは常にアップデートされているけれど、地域にいる人はハードが一緒なのにソフトが古い。ただOSをインストールしてあげればいいだけなんです。
外にいる人たちは、そういう場を作っていければいいと思っています。
名前:浅野有希
職種:ふたりごと文庫 編集長
出身:埼玉県地域活性化を志す産業能率大学3年生。ニッポン手仕事図鑑にて毎日勉強中!旅行と美味しいものを食べるのが好き。
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