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2018年10月31日
土祭 土と益子−この土地で共に生きる−
みなさん、こんにちは!
今回は、今年の9月15日(土)〜 9月30日(日)と10月7日(日)に
「文化の力で地域を元気にする」という目的で栃木県益子町で開催された
「土祭 土と益子−この土地で共に生きる−」の様子をお届けしたいと思います。
私も見に行ったところと行けなかった箇所があるので、全てをお伝えすることはできませんが、
実際に見たり、SNSを通じて感じたことをありのままに皆様にお伝えしたいと思います!
「益子」というまち
栃木県益子町は、全国でも有名なあの益子焼の産地として知られ、多くの陶芸家が在住し作陶をしています。
ご覧いただいている皆さんの中にも、行ったことがあるという方がいらっしゃるかもしれませんが、春と秋の年2回に「陶器市」と呼ばれる大きな市場が開かれています。
まだ行っていない、行ってみたいという方は、
来月の11月2日(金)〜 11月5日(月)まで秋の陶器市が
開催される予定なので、ぜひこの機会に足を運んでみてはいかがでしょうか?
ところで皆さん、この記事のタイトルである
「土祭」という名前、読めるでしょうか?笑
これは「土祭」と書いて「ヒジサイ」と読みます。
「土祭」をプロデュースした馬場浩史さんと旧知の文筆家 武田好史さんとの発案で、
古代の土や泥の呼び方のひとつ「ヒジ・ヒヂ」を用いて「土祭」という名が生まれました。
△「土祭2018」の公式パンフレット
私は益子という土地はそれだけ土と深い関係にあるということ、
土を扱う陶芸家にとっても、生活の中で当たり前のように陶器を使っている私たちも、
土という素材が無ければ生まれてこなかった「モノ」がそこにはあるような気がしました。
「土祭」 アート編
さて、いよいよ「土祭」の中身に迫って行きたいと思いますが!
そもそも「土祭」は何をしているの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
「土祭」は、大きく分けて、地域プロジェクト・アート展示・他プロジェクトの3つで構成されており、それぞれ益子地区・七井地区・田野地区で開催されました。
どのアーティストも、今年の「土祭」のテーマである
「土と益子−この土地と共に生きる−」
とはどういうことかを考えて制作されています。
自分にとって、地域にとって、あるいは益子という場所自体にとって
それがどんな意味を持っているのかを鑑賞する、私たちも考えされられる展示となっていました。
△”闘って撮る”写真家 井賀孝さんの作品
△芸術考古学を専門とし研究している石井匠さんの作品
△2017年に大学院を卒業したばかりの若手画家 田中望さんの作品
△彫刻制作と美術教育の研究をしている生井亮司さんの作品
「土祭」 地域編
続いて、地域プロジェクトについてお伝えしたいと思います!
地域プロジェクトの中でも私が一番お伝えしたい企画はコレ!
益子地区で9月22日(土)に、今から30年〜40年前の益子町の学校給食を再現したプロジェクトです!
私のような10代、20代の若者にとって給食というのは子どもたちの健康と食の美味しさを伝える大切な時間ですが、それは私たちのお母さん、お父さん世代も同じです。
ですが、今の学校給食と昔の学校給食ではどこが違うのか。
私も食べたかったのですが、別の予定と重なって食べられませんでした…(涙)
△昔懐かしい学校給食
ちなみに、ここで使われている食器はもちろん益子焼です!
「土祭」 他プロジェクト編
最後にご紹介するのは、他プロジェクトの企画の一つである「手仕事村」についてお話ししたいと思います。
「手仕事村」とは、益子町にある益子の森の中にあるひだまり広場と呼ばれる場所で開催されました。
周辺が緑の木々に覆われた中にぽっかりとひらけた場所で、
様々な素材を用いた手仕事品の展示販売を行ったり、益子を中心とした飲食店も日替わりで出店され、行く度に新しい発見があるプロジェクトとなっています。
これも残念ながら、開催が土日祝日のみだったので
私はFacebookでその様子を見ているだけでしたが、それだけでも面白い内容でした!
△手仕事村開催の様子
3つのプロジェクト以外にも関連企画として、「土と人」と題した高木正勝さんのソロライブが山本八幡宮という場所の野外舞台で開催されました。
私は残念ながら行けなかったのですが、200名以上の方が高木さんの音を聴きに訪れ、ライブ終了後は皆さん良い顔をして帰られたそうです!
△高木正勝さんソロライブの様子
「この土地で共に生きる」ということ
私は高校生の頃、美術大学進学を目指していた時期に自分は絵を描きたいのか?ものを作りたいのか?その先が見えないでいました。
そんな時、たまたま陶芸を学ぶ機会があり、そこでようやくものづくりを専攻しようと決意したことがあります。
ですが私は栃木県出身と言っても益子町生まれではありません。
だから私にとって益子という町は、憧れの場所でありながら自分にとっては遠い存在で、なんとも言えない気持ちがありました。
しかし今回の「土祭」を見て、その土地で生きた時間、生きている時間が長くても短くても、
人によって瞬間に感じること、流れを感じて気付くこと、
内に住んでいるからこそ外から来た人と関わることで気付くこと、
そして、その土地がもたらしてくれた素材に感謝すること、
それが大切なのではないかと私は感じました。
だからこそ、私にとって益子という町は憧れであり、こうして関われたことをとても嬉しく思っています。
「土祭 土と益子−この土地で共に生きる−」
それは、土あるいは土地(つち)から繋がるこの祭りに訪れ、
たくさんの感じたことを持ち帰り、自分にとってこの土地とは故郷とは、
共に生きるということはどういうことか考えるきっかけになる機会だと思います。
3年に一度の開催なので、次回は3年後になりますが
このイベントで会場となった場所や痕跡はあることでしょう。
それを探してみるのも面白いかもしれませんよ。
それでは、ここまで記事を読んでくださった皆様、
長い文章にお付き合い頂きましてありがとうございます。
益子町が気になったという方はぜひ、遊びに来てくださいね!
名前:田中絢子
職種:大学院生
出身:栃木県漆という素材を使って、漆器やオブジェ、アクセサリーに至るまで幅広く作品を制作。工芸と若者がつながる場所を作るため研究中。
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