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2018年10月24日

“おむすびというメディア”で秋田をつなぐ -武田昌大さんインタビュー

日本橋の町を歩いていると、突如きらきらした建物が現れます。
渋谷や表参道にあってもおかしくなさそうな、おしゃれな4階建てのビル。


 

ここは東京と秋田を食でつなぐ場所、ANDONです。

秋田のお米を使用したこだわりのおむすびを食べることができます。
注文してから握ってもらう出来立てほやほやのおむすびに、「肉みそ」「いぶりがっこチーズ」「ぼだっこ」などの豊富な具材が用意されています。


 
 

今回は、ふたりごと文庫編集室のメンバー3名でANODNのオーナー・武田昌大さんにお話をうかがいました。

武田昌大さん
秋田県出身
 
東京のゲーム会社に就職した後、地元秋田県の活性化を決意。
2010年 若手米農家集団トラ男(トラクターに乗る男前たちの略称)を結成。
2015年 「シェアビレッジ」を立ち上げる。
2017年 おむすびスタンドANDONを東京・小伝馬町に設立

 
 
 

武田さんは秋田県出身で、2017年にこのお店をオープンさせます。
「ずっとおむすびをやりたかった」と語る武田さんの、「秋田」と「おむすび」にかける想いに迫ります。

 

これからは”体験を提供する時代

 

―武田さんはすでに事業をいくつかなさっていますが、さらにANDONを始めようと思ったのはどうしてですか。

トラ男の活動と関係があります。トラ男ではお米の通販をしていたのですが、ネットのお客さんは宙にふわふわ浮いてるようなイメージがありました。
当時は毎月東京でイベントをやっていましたが場所もばらばらで、いつでも来られていつでも食べることのできるリアルな場所が欲しかったんです。


 

―ふわふわしているお客さんをリアルな場に着地させるということですね。
単なるお米屋さんではなく飲食店という形にしたのはなぜでしょう。

せっかくこだわってつくられたお米でも、炊き方を間違えるとまずくなってしまいます。
だから、お客さんの口に入るまでをプロデュースしたかったんです。

これからはおいしいお米をつくる時代から、お米をおいしく食べてもらう”体験”を提供する時代になるのではないでしょうか。
あと、ずっと「おむすび屋をやりたい」と思っていました。

日本橋から、おむすびというメディアで発信する

 

―お茶碗に盛られたご飯ではなく、おむすび。その形にこだわりはありますか。

おむすびはメディアだと思います。具材を伝えるためのお米になれるので。
一方で、お茶碗に盛られたご飯はおかずありきのお米になってしまうような気がするんですよね。
秋田の具材だけじゃなくて、他の地域の具材とコラボできるのもおむすびのいいところです。


 

―おむすびはメディア、格好いいですね。
おむすびという形をとることによって、お米が脇役を引き立てつつ、主役になるんですね。

昔からあるおむすびを、新しい形で伝えていきたいという想いもありました。
この店がある日本橋エリアは古いものと新しいものが混在していて、僕の考える”おむすび”と地域性がうまく絡み合っています。

―もともとこのエリアでお店をやりたかったのでしょうか。

常に最先端が集まる渋谷とか、そういうところに出すのは違うと思っていましたが、ここと出会ったのは偶然なんですよね。

ANDONがある小伝馬町は昔、地方から江戸に来る人が馬を繋ぎとめておく場所で、地方と江戸の繋ぎ目でした。そういう歴史もあるので、秋田(地方)と東京を結ぶANDONはこの地域にぴったりだったと思います。

日常に地域を

 

―お店では、お米のこだわりを聞きながら食べることができるのでしょうか。

もちろん、知りたい人には説明しますよ。
でも、別に知りたくない人には無理にしません。価値観の押しつけになってしまうので。

―興味がない人にこそ、こだわりを知って興味を持ってほしいという想いもあるのでは。

そこが難しいところなんです。
ただ、初めましての人にいきなり長文のラブレターを送りつけられたとして、それを読む気になるかって言われたら……きっと読みませんよね。

もっと長い時間をかけて、人間の自然なコミュニケーションの中で興味を持ってもらえればいいんです。地域と関わるハードルは低くていいと思っています。

 

―何事も一方的なアピールはよくないということですね。ハードルを低く、というのは、具体的にどのようなことですか。

最近「地方創生」と言いすぎて、地域と関わるハードルが高くなっている気がします。
そうじゃなくて、もっと楽しく、日常に地域があればいいのではないでしょうか。


 

―ANDONは、日常の中に秋田を落とし込む場としての機能を持っているんですね。

まずは秋田を好きになってもらえる土壌をつくることが大事です。
最終的に好きになってもらえない可能性もありますが、無理に秋田のファンになってもらおうとは思いません。

ANDONに来て秋田のものを食べて、秋田人と話して、なんとなく秋田にいるような感覚をもってくれたらそれだけでいいんです。

―ANDONではさまざまなイベントが開催されていますが、それも日常に秋田を落とし込むことを目的としているのですか。

おむすびフライデーなんかは、ワクワクの方が大きいですね。

こっちではご飯だけ用意て、参加者のお客さんに具材を持ってきてもらうのですが、「なんでその具材なの?」っていう具材談議が面白いんです。それがいろんな地域を知るきっかけにもなります。楽しいことが重要です。

名前:尾形希莉子
職種:学生
出身:神奈川県横浜市

大学で地理学を学ぶ傍ら、「面白そう!」を原動力にあちこち飛び回っている。食べ物には目がなく、農ある暮らしを求めて生産現場を訪れることもしばしば。身近なものの裏側が好き。

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