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2019年05月20日

大学時代、旅のなかでみつけた出会い | 宮田サラ

高円寺アパートメント1階、まめくらし研究所

おしゃれなハンドメイド雑貨などが並ぶお店「まめくらし研究所」の窓から顔を出し、子どもたちと穏やかな笑顔でふれあっているこの方こそ、今回インタビューさせていただいた宮田サラさん。

宮田さんは、まめくらし研究所の店主であり、まめくらし研究所がある賃貸住宅「高円寺アパートメント」を、住み込みで運営するコミュニティーマネージャー(通称 女将)でもあります。

高円寺アパートメントは、1階に飲食店が2戸、店舗兼住宅が4戸、住居が44戸ある団地のような賃貸住宅です。
高円寺アパートメント自体は、株式会社ジェイアール東日本都市開発がオーナーで、宮田さんが務める株式会社まめくらしが委託を受けて、住人同士や地域の方々との関係性を育む場づくりをしているそう。

宮田さん:人生で一番過ごす時間が長いのはきっと自分の家だと思うの。
その家に対する諦めというか、ただ職場から近いとかの理由じゃなくて、もっと住人同士の人間関係だったり、その住宅自体に魅力を感じられる暮らしを提供したいと思って活動しています。
高円寺アパートメントの運営以外にも、「大家の学校」という場づくりを学ぶビジネススクールを企画運営しています。

宮田さんは大家の学校で、大家さんの意識や行動を変え、関係性を育む暮らしができる住宅をつくる人を増やそうと活用しています。

高円寺アパートメントは、一階が店舗、二階が住居の構成で、宮田さんは一階の店舗で週に三日程度、ハンドメイドの雑貨屋を開きながら住み込みでアパートメントの運営を行っています。

宮田さん:今の仕事は、自分が本当にやりたいことというか、自分の問題意識、思いにあった仕事かな。
だから仕事を自分ごとにできるし、すごくやりがいも感じている。

そういきいきと話す宮田さん。

普段の宮田さんのお仕事の様子を拝見させていただきましたが、住人の方々と話し込んだり、施設内の芝生で遊ぶ子どもたちやそれを見守るママさんたちと談笑するサラさんは、なんだかとても輝いてみえました。

もし私もこんな風に、自分の仕事と暮らしを心から楽しんで暮らせたら、どんなに幸せなんだろう。

それって、本当に素敵なことだと思いませんか?

今回はそんな宮田さんが、自分が輝けるお仕事に出会った大学生のころに遡って、今の暮らしの秘訣を教えていただきました。

大学時代、全国を旅してみつけた出会い

宮田さんが大学一年のときは今している仕事に全く興味もなく、大学の講義とサークルとバイトが生活のすべてだったといいます。

しかし、二年時に参加したゼミをきっかけに、その生活は大きく変わったそう。

そのゼミは、何かプロジェクトをするのではなく、大学の外に出てさまざまな活動に参加し、さまざまな人に会うことに重きを置いた内容でした。
そこで出会った学外の大人たちの影響で行動範囲や考え方の幅が広がったのだとか。

最初は都内で活動していた宮田さんですが、次第に全国に足を延ばすようになり、2年生の時にはバスで東北各地にボランティアに行くプロジェクトにも参加したそうです。

宮田さん:東北で出会った人たちにすごく衝撃を受けたのを覚えているな。
全然地域おこしの専門じゃない人、例えば普通にその辺の畑で働いてるおじいさんおばあさんが町のことをすごく真剣に考えていたんです。

原因はどうであれ、自分のまちのことをこんなに真剣に思えるって、すごいことだなって。

考えてみたら、私自分の地元の岡山のこと全然知らなくて。
だから、もっと岡山のことを知ろう!と思って、三年生のはじめに岡山でひとり旅をしてみたんだ。

そしたら、住んでたときには知らなかった、面白い場所、町づくりしているところ、地域を盛り上げようと頑張っている人、知らなかった魅力的で面白いものやひとに出会ったの。

でもそれって、岡山に限ったことじゃないと思って、いろんな地域の面白い人に会いに行く旅を始めたんだ。

その中で出会ったひとりが、豊島区で活動していた今のボスの青木純です。
ボスは賃貸住宅の大家さんで、単なる部屋を貸すだけの大家さんじゃなくて、住人同士の関係性づくりを丁寧にして、住人やまちの人たちの暮らしを育てていました。

サラさんはそれまで、東京では地方のような人との関係性にあふれた理想の暮らしはできないと思い込んでいました。
しかし、青木さんと出会い、東京でも理想の暮らしができるだと実感したと言います。
そして当時4年生だった宮田さんは、青木さんの育てる暮らしの場に共感し、青木さんに誘われたこともあり、一緒に働くことになりました。

旅の末にみつけたもの、秘訣は直感と好奇心

― 宮田さんが今の仕事をみつけることができた、一番の秘訣とは?

「私の場合、大学1年生は大学・サークル・バイト以外の活動の選択肢がなくて、ゼミに入ってからも2年生のときは何かの活動に参加するだけで受動的だったけど、徐々にフットワークを軽くして、興味あるものに手を伸ばすようになって、だんだん行動範囲が全国になっていました。
そして、枠にとらわれない働き方をしている人とたくさん出会ったお陰で、そんな働き方が私にとってはマジョリティになっていました。
だから、いわゆる就活はしないと決めて、自分ならではのやり方で卒業後の道をみつけられたんだと思います。

最初から全国に旅するとかは難しいけど、自分で徐々に外に出ていけるようになれば、今は手が出しづらいものも、そんなに大きな一歩には感じなくなる。

大学生って色々考える時期だけど、やりたいことを無理に探す必要はないと思うし、無理にひねくりだしたやりたいことは途中で挫折すると思っています。

悩みながらでもいいから、ちょっとでも会ってみたいとか、興味あるなと思った人がいたらその直感と好奇心を大切にして会いに行ってみるとか。
会ってみたい人に会えるのって、学生の特権だと思います。
私もその特権、すごく使ったし。(笑)

そうやっていろんなものに触れて、出会って、選択肢を増やす時期が大学生なんじゃないかなと思います。」

誰もが、自分を見つめなおして生き方を悩むであろう大学時代。
きっとその短い時間の中で、足踏みをしている暇なんて無いのでしょう。

これからの人生が輝くチャンスは、これから踏みだす一歩の先にあるのかもしれません。

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