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2019年06月25日

職人として生きる|菅清流

なにかの職人になってみたい。
黙々と自分と作品とだけの時間を永遠と味わう人生を送りってみたい。
ひそかにそんな思いを持つ人も、少なくないのでは?

京都北白川にあるガラス工房「ほのお」
色とりどりのネオン菅が並ぶ工房で、一際輝くガラスペン。
ガラスペンに興味のある人の中で、菅清風ときいてピンとくるかたもいるのではないでしょうか。

今回私は、硬質ガラスペン職人の菅清流さんに、ガラスペンの魅力と、大学時代に職人としてガラスペンづくりに一生を捧げる決意をした経緯について、お話を伺いました。

一日に作ることができる本数は多くても4本と、一本一本に大変根気のいる作業を要するガラスペンづくり。
その魅力とは、一体?

菅さん:私が思うガラスペンづくりの魅力は、ガラスの性質の奥深さにあります。
ガラスが溶けるときの、あの特有の感覚に魅了されました。

また、時間をかけ、魂を込めればこめるほどお客さんの喜ぶ顔が浮かび、それが一番の励みになります。

こちらが、菅さんが作ったガラスペン。
実際に試し書きをさせていただきましたが、手作りのガラスペンでしかだせない書き味と、ガラスならではの見た目の美しさにうっとりします。

菅さんは、小学生の頃から祖父である菅清風さんの工房によく訪れ、ガラスやネオン菅に馴染みがありました。
小さい頃からものづくりが大好きだった菅さんは、夏休みの自由研究もよく工房で作っていたそうです。

ガラスの工房で働くことを本格的に考え出したのは、高校時代だったそう。
当時はガラスペンよりネオンサインに興味を持ち、ネオン菅の勉強をしていたそうです。

その後は、ガラスペンの宣伝のため、情報デザインの大学へ入学しました。
菅さんは大学に通いながら工房でネオン菅の勉強は継続していましたが、より繊細なで美しいガラスペンへの興味が増していました。

菅さん:その時初めてガラスペンを作ってみると、ものすごく面白かったです。
そこからガラスペンの魅力にはまってしまいました。
両親からの反対もありましたが大学を辞めて、そこからはガラスペン一本で今に至ります。

その選択に、不安はなかったのですか?

菅さん:もちろん、不安だらけでした。
でも、一度きりの人生ですから。
私は、会社勤めの仕事をして人から感謝されることより、いいものを作ってお客さんに直接喜んでもらえることに魅力を感じました。
必ずしも、安定=正解とは限らないですからね。

安定や無難さより、自らの素直なトキメキに一生をかける決意をした菅さん。
そんな菅さんの、今後の目標とは?

菅さん:師匠から受け継いだものだから、ガラスペンをより進化させて残す立場としての責任は感じています。
発信の方法や売り方を今の時代に合わせながら、受け継いだ質は落とせません。
歴史ある伝統工芸として何代も何代も継承して、進化させ続けていきたいです。
100、200年後に素晴らしいガラスペンが或るために。

確かに、職人になるという決断はメジャーではないし不安も伴うでしょう。
それでも、好きなことに没頭し、素晴らしい継承品のバトンの渡し手にもし自分がなれたとしたら、とても素敵なことではないでしょうか。

大学を卒業したら、就活してどこかの企業で働こう。
これももちろん一つの決断ですが、実は気づかないところにも、将来自分が輝ける最高の選択肢が転がっているかもしれません。

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